
がん治療における漢方薬の位置づけをおさらいしてからカテゴリや具体的な名称を見ていきます。
がん治療における漢方薬とはどういうものか?

西洋医学を補完する
3大治療法と言われる「手術」「化学療法」「放射線治療」をしっかり行うことを前提として、その中で起こる副作用や気持ちの落ち込みなどを漢方薬で改善していく、というイメージです。

どちらか一方だけ完治できる!と盲信しちゃうのは危なそう。
いつから併用して良いのか?
初期からok。主治医に相談し、漢方診療医を紹介してもらいます。
自己判断での購入はNG!

主な効果3つ
- 気持ちの落ち込み
- 気力と体力の回復
- 副作用の緩和
『補材』で『後天の気』を補う
漢方薬でメイン使いされるのが補材(ほざい)。
後天の気を補い、元気になることを目指します。
具体的な効果としては、胃腸や肺の機能をアップや、『気虚』や『瘀血』の改善です。
『補腎剤』で『先天の気』を補う
サブとして使うのが補腎剤(ほじんざい)。
がんとその治療により欠乏した『持って生まれた生命エネルギー』(先天の気)を補います。
漢方薬を組み合わせて『2つの気』を充実させ『元気』になる

3大補材
- 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
- 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
- 人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)
メインは十全大補湯。
メンタル面の回復も望むなら補中益気湯。
呼吸器系もケアしたいならば人参養栄湯。
補中益気湯などが無効であれば茯苓四逆湯(ブクリョウシギャクトウ)という流れで処方されることが多いようです。
※進行がんに『化学療法+ホルモン療法』と併用して治療する際の生存率改善には十全大補湯が効くというエビデンスがある。
補腎剤のメイン
- 牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
- 八味地黄丸(ハチミジオウガン)
- 六味地黄丸(ロクミジオウガン)
牛車腎気丸は抗ガン作用。
八味地黄は副作用の改善。
六味地黄丸は上の2つの服用で動悸や湿疹が出る場合に使います。
『駆瘀血剤』で血の巡りを改善する
血の巡りを改善する駆瘀血剤(くおけつざい)。
多く使われるのが桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)。すべての流れを良くし、不眠にも効果あり。
乳がん治療薬の副作用に効く漢方薬
加味逍遥散(カミショウヨウサン)は、乳がん治療の副作用としてあらわれる「ホットフラッシュ」(のぼせ、不眠、動悸など)に効果があるとされています。
漢方薬の処方における考え方を知っておく
漢方治療の原則!『先急後緩』の考え
急な症状が出たらそれを先に直すことを優先し、慢性的な症状への対処は一旦お休みします。
急な症状が改善できたら再開する。そんな考え方です。
ABAB法
漢方薬を服用する期間と服用しない期間を設けて、どういう効果が出るか、止めたらもとに戻るのかを繰り返す方法。
兼用方
「主たる症状ではない症状」を改善するために服用する方法。
合方(混ぜて服用)
複数の漢方薬を合わせて処方すること。